2006/01/29

孤独(1956)


孤独 

ヨシフ・ブロツキー

ときに、疲れ切った意識が
釣り合いを失い、
ときに、この階段が
甲板のごとく
足下を払い、
ときに、夜の孤独が
人間たることに唾吐くことあればー

君には可能なのだ
永遠について思いをめぐらし
そして、芸術作品の
理念、仮説、受容、
そして、ちなみに言えば、かの
イエスを孕んだマドンナの純潔にも
疑念を投げつけることも。

だが、与えられているものに頭を垂れる方がましだ、
それには深々と掘られる墓があり、
年月を経た末に
愛しきものと映ろうもの。

そうなのだ。与えられたものに頭を垂れる方がいい、
それには短い路程があり、
後になれば
不思議なまでに
広々としたものに、
大きく、砂塵を被る、
妥協で敷き詰められた道に、
巨大な翼に、
巨大な鳥に見えようもの。

そうだ。与えられたものに頭を垂れる方がましだ、
その貧しい物差しは
その後、極限にまで辿り着くと、
欄干となってくれようし
(さほど綺麗とまでは言わない)、
刃のこぼれ落ちたこの階段を
びっこを牽いて歩く君の真理を
支えてくれようもの。

1956